2025年7月31日木曜日

セコニック オートリーダー188

EOS-KissX3 EF50mmF1.8STM

 露出計のないカメラで撮影するとき、ゾーンシステムを用い露出を決定したいのでスポットメーターを使っている。小型カメラを手持ちでスナップする時は、大きなスポットメーターであちこち露出を測っていると軽快に撮影が出来ない。

 そんなときは露出計は小型の反射式のもので受光角度も標準域に近いものがいい。いくらスナップとはいえ、ゾーンシステムの考えは必要だ。そうじゃないと、シャドー部とハイライト部の濃度の決定が出来ない。少なくともゾーンⅢの濃度はとりわけ肝となる。

 念のため、スマホに露出計アプリを入れているが、いくら実用に足ると言ってもこういうのはなんか違うなと思う。スマホのロックを解除してアプリを起動して。。。。ってやっているよりは、露出計を取り出してささっと測る方がいい。
 
 液晶にデジタル表示されるものよりも、プリミティブなダイヤル式の方がいい。カメラにアクセサリーシューに付けるタイプのもあるけど、なんかカメラのデザインが壊れるような気がする。ライカメーターならデザイン的には問題ないし、シャッタースピードダイヤルと連動しているという利点もあるけど、昔のセレンのものは、精度の良いものに出会えるとは限らない。
 
 反射式のセコニックのオートリーダー188の中古を3年ほど前に購入した。購入後、チェックしていると、2段ほどオーバーな値を示すようだ。仕方がないので、しばらくは、ISO100のフィルムをISO400の設定で使っていたが、気持ち的にモヤモヤするので、分解して調整することにした。
 可変抵抗を少し回すと調整出来るので、いくつかの信頼できそうな内蔵露出計のカメラを基準にして地道に追い込んだら、満足できる調整が出来た。(多分、これでいいと思う。いいと思うけど不安と言えば不安。完全に気持ちの問題。)

 それにしても、この露出計、昭和50年製造だったとは。開けてみて初めて分かった。




2025年7月28日月曜日

ライカM-Aを買った

 

EOS-KissX3    super-multi-coated-takmar 55mm F1.8

   2025年7月、ライカM-Aを買った。以前にライカを買ったのは2001年のM6TTLなので、24年ぶりとなる。ちょっと今回の話は長くなるかもしれない。


1台目のライカM6TTLのこと

 M-Aの話をする間に、M6TTLのことから話さないといけない。なぜ、M6TTLを買ったのか。その当時使っていたカメラは電気で動くカメラばかりだったので、自分と一緒に歳を重ねることが出来るカメラが欲しかった。それから、その年に結婚することになって、趣味で大きな買い物なんてもう出来ないかもしれないと思ったからだ。しかし、そう思っただけで、実際にはそうはならなかったけど。😅

 物事は自分の意志で決定しているように思えるけど、そうではない気がする。ロースペックな機械式M型ライカを欲しいと思うのは、電子で自動化されたカメラに囲まれた時代に生きた反動とも言えるし、世界経済や、自分個人のライフイベントや様々な要因が重なった結果だ。

 まあ、それはともかくとして、2001年当時はどんな時代だったかというと、2025年の今と違い、円の力がべらぼうに強かった。まだヨーロッパの通貨はユーロではなかった。フィルムや印画紙も安く潤沢に供給されていた。
 
 フジのプレスト400(135)は、100ftが2500円くらいで買えたんじゃなかったかな。100ft だと36枚撮りを18本そこから巻くことが出来るので、1本あたり140円で高性能なフィルムが使えた時代だ。印画紙も安くてアグファの8×10のRC印画紙が100枚入りで5000円くらいだった。暗室用品も、ちょっと大きなカメラ屋ならどこにでも置いてあった。

 その頃、日本シイベルヘグナーがライカの輸入代理店をしていたのだが、並行輸入品もあちこちで売られていた。M6TTLの新品価格は、正規輸入品が24万円くらいで、並行輸入品のズミクロン50mmF2が7万円くらい、ズミクロン35mmF2ASPH.が13万円くらいだった。
 ボディは、正規輸入品と並行輸入品とでは、デザイン的に違いがあったのと保証の関係で正規輸入品を買った。レンズは、保証以外は違いがまったくないので、並行輸入品を買った。

 ちなみに、中古ライカを買おうとはまったく思わなかった。なぜなら最初から中古を買うのはハードルが高かったし、その当時、古い時代の中古ライカは結構高かったし、今みたいにインターネット上に豊富な情報があるわけでもなく、状態の良い中古を探すには都市部へ出かけて自分の足で探すしかなかった。

 買うまでにかなり逡巡し、お金を握りしめて電車に乗って名古屋のカメラ屋まで行ったんだけど、ブラックかシルバーか決めきれずに、買わずに帰った。二度目行った時も迷ったんだけど、店員さんに、

「確かに迷うお客さん多いけど、どっちを買っても、買った後で満足が出来ますよ。」

と、言われたので、ボディはシルバー、レンズはブラックにした。レンズはシルバーでもブラックでも今とは違い価格が同じだった。ただ、材質が違うせいかシルバーは重い。そんな理由でブラックを選んだ。

 ボディの色を選ぶのに悩んだのは時代的な背景もある。20世紀後半多くのカメラで、シルバーとブラックの選択が出来た。しかし、ブラックの方が数千円高かったのだ。ちょっと高いということもあり、ブラックボディの方が高級な感じがした。ニコンF3もキャノンnewF-1もペンタックスLX等のフラッグシップ機はみんなブラックだった。

 でもその時代からしばらくしてAFカメラが主流になってくると多くのカメラの筐体はプラスチックとなり、色もブラックになった。つまり、ブラック=プラスチッキーでチープなイメージになったのだ。

 代表的なライカのモデルになると、バルナックカメラの時代はシルバーで、M3やM2はシルバーのイメージしかない。M4は両方。M5はブラック、M6は両方のイメージだった。 こういう機械式のカメラはトラディショナルなデザインがいいと思っているので、最終的にシルバーを選んだ。僕の選択は間違っていなかった。良かった良かった。

 このM6TTLだが、フラッシュを使用する際にTTL調光が出来るようになったので2ミリほどボディが高くなった。そのため、ライカマニア(僕は違うけど)の中では評判がよろしくないようである。フラッシュなんてこのカメラでは使わないのに余計な機能かなと思う。
 
 そもそも、道具というのは進化し切ってしまうとそれ以上開発するところがなくなり、使いもしない機能を付加してより複雑化していくものなのだ。それはほんとやめて欲しい。
シャッタースピード回転ダイヤルも大型になり、ファインダー内露出計の指示方向と、ダイヤルの回転方向がM6までとは逆になっている。これは正しい進化だと思っている。

 M6TTLはあの頃の僕にとっては高い買い物だったが、今売ると、僕が買ったときよりもかなり高く売れると思う。売らないけどね。こんなことならまとめて10台くらい買ってけば良かった😜

 それから24年、たまに取り出してM6TTLを使っている。一度だけ、フィルムカウンターが動かなくなり、修理に出した。どことは言わないが、正規店に修理について尋ねてみたら

「ドイツに送るので10万円くらいから・・・・・・・」

と、言われ、正規品だということで安くなることもないらしく、意気消沈して、いつも利用している修理店に持ち込んだら2万円で修理してもらえた。それ以外に、故障はなく、露出計も問題なく動いている。


レンジファインダーカメラのこと

 M6TTLを使い始めてレンジファインダーカメラのおもしろさにのめり込み、ロシア製のゾルキーやジュピター50mm、コシナ製フォクトレンダーの25mmを買ってみたけど、それらは性に合わず手放してしまい、M6TTLと同時に買った2本のズミクロンが手元にずっと残っている。
 
 レンジファインダーカメラに慣れた2003年、中判レンジファインダー機のニューマミヤ6を手に入れた。これは旅の良い相棒になった。


歴代M型ライカについて

 この間、ずっと他のライカも研究していた。そのうち2006年にM8が発売となり、それ以降、M型ライカはデジタルカメラになっていった。デジタルライカには興味が湧かず、他のM型ライカを探すなら、時代を遡る必要があった。

 M3のファインダーと操作感が素晴らしいのは知っている。でも35mmのレンズが使えない。どうせなら、自分の生まれ年のライカを探そうかと思い始めた。1969年製造の一般的なM型ならM4、製造数が少なくて高価だけどM2-Rもある。M4はM型フィルムカメラの最終進化形態ではある。
 
 しかし、M4から巻き上げレバーやファインダーセレクター等にプラスチック部品が使われ始めた。それに比べて、M2-Rは、プラスチック部品がなく、金属感満載である。しかし、こんな製造数の少ないカメラ、しかも半世紀も経っているので状態の良いものに出会うのは大変困難だ。

 そんなわけで、1969年製のシルバークロームのM4をずっと探していた。探していたんだけど、常に同じ熱量で探していたわけではない。

 2003年発売でずっと現行品のライカMPはどうか?とも思った。軍艦部にLeicaと、書かれているがこれがプリントなのか刻印なのか分からないが、これが正直好きになれないし、露出計内臓ライカなのにM6TTLとシャッタースピードダイヤルの回転方向が逆なので、使用する際に混乱しそうな気がした。

 そして、2014年にM-A発売。こんな露出計のないカメラに60万円も払って誰が買うの?と思った。そう思ったんだよ。その時は。

 次の変化は、2022年にM6の復刻版が発売となった。正直これには驚いたが、ブラックボディしかないし、シャッタースピードダイヤルはMPと同じ回転方向だし、そもそもM6TTLとたいして違いがない。というわけで、これもなし。


そんなわけでM-A

 そうこうしているうちに歳月はどんどん過ぎていく。再びM4を探していたのだが、M4の気になるところはプラスチック部品が使用されていることだけ。よくよく考えたら、M4って露出計ないやん。いや、むしろないから魅力的なのだ。

 じゃあ、露出計のないM-Aってどうなの?M-Aは、巻き上げレバーとファインダーフレームセレクターにプラスチック使ってないし、これでいいんじゃないだろうか?バースイヤーじゃないけど、それよりもプラスチック部品が少ないことを優先したい。
 
 しかし、2025年現在、M-Aはどんどん値上がりして新品価格は90万円くらいになっている。10年で50%の値上げ。今後安くなるとは到底思えない。その点、M4は、状態の良いものと出会えたとしても40万円もあれば十分じゃないだろうか。それに、大都市圏に住んでいるわけではないので、状態の良いM4を探すためにはネットを探すか、M4を探す旅に出なければならない。

 あるのかないのか、また状態が気に入るかどうか分からないのに、旅を何度も繰り返すのは辛すぎる。実はニューマミヤ6は、そんな旅を繰り返してようやく買うことが出来たカメラだったりするので、カメラ探しの旅は経験済みなのだ。

 そんなM4に40万円出すくらいなら、もう50万プラスして確実に問題のない状態の新品M-Aを買えばいいじゃないかと思った。残りの人生の時間も限られているんだし。
 普段は、10円単位でケチケチして買い物しているけど、こういう時はちゃんと決断するんです。
 色は迷わなかった。M-Aのブラックって軍艦部に何も書いてないんだよね。のっぺりし過ぎ。というわけで、迷わずにシルバー。

 M型ライカは、レンズ1本、ボディ1台とか言われている。レンズは既に2本あるので、ボディが増えても困らない。2台目のM型ライカを買うことは、2001年に2本のズミクロンを買ったときに、予定されていたようなものだ。

 M-Aは、注文してから2週間くらいで手元に届いた。早速、付属の革ストラップを通して、僕のラッキーカラーの黄色のソフトシャッターレリーズを付けてみた。
 他の付属品にコダックのトライXが1本あるんだけど、フィルムの期限が来月になっている。このM-Aっていつ作ったの?

 こんな露出計の付いていないカメラ誰が買うんだろって思っていたが、まさか僕が買うとはね。何事も良く知っていて敢えて選択しないものはずっと選択することはないけど、まるで検討しなかったものって何かの拍子に急に注目し始めることもある。
 
 M6TTLは、人生の節目でいろいろなものを撮った。祖母が亡くなった時にもその顔を撮った。そのイメージはネガのまま保管している。プリントすることはないだろうけどそれでいい。

 M-Aは、僕をどこに連れて行ってくれるだろうか。


2025年7月26日土曜日

印画紙の調色について

 

 僕がやっているのは白黒写真ではなく、モノクローム写真である。実際には白黒と言っても紙の材質や乳剤によってそれぞれの色調が存在する。印画紙の種類で、青みがかった冷黒調、赤みがかった温黒調、中間の純黒調が販売されており、各社それぞれの特徴がある。それとは違い印画紙の銘柄ではなく、調色液で色調を整えることもでき、表現上、とても重要な要素である。

 調色処理は、作品のアーカイバル処理(長期保存処理)も同時に兼ねている。アーカイバル処理だけが目的であれば、適切に定着と水洗処理が終わった印画紙にフジのAGガードを塗布すればいいのだが、AGガードだと「適切」を担保できない。そもそもAGガードってどういう仕組みで銀画像保護が出来るのかな。

 それに対して、調色液を使った場合、水洗処理が適正に出来ていない場合は印画紙内の残留物と反応し、がステインとなって現れるため、確認が可能である。ステインがなく調色されている印画紙は、アーカイバル処理が行われているということでもある。

 つい最近まで、コダックT-8処方の多硫化調色液に、セレニウム調色液を混ぜた調色液を自家調合して愛用していた。

<コダックT-8処方>
多硫化カリウム(硫肝) 15g
炭酸ソーダ1水塩 5g (炭酸ソーダの場合、4.3g)
セレニウムを添加すると、調色がされやすいので、セレニウムトナーも加える。

イルフォードセレニウムトナー(1:4)200CCで、総量2リットルとする。                            


 たまにAGガードを使うときもあるが、最終工程ではいつもこの調色液を使用していた。一度調合してしまえば、一生使えるような処理液なのだが、うっかりこぼしてしまった。
 再調合しようと思い、多硫化カリウムの試薬の保存瓶を見たら、完全に劣化(酸化?)していて使えない状態になっている。新鮮な状態の多硫化カリウムは、硫黄の匂いがするし、そもそも色がこんなに緑色ではなく黄色味がかっている。それでも、念のため調合し、試してみるがやはり印画紙にまったく変化がない。

 そこで、新しく多硫化カリウムの試薬を買おうとあちこち探してみるが、以前購入したメーカーに問い合わせたら、既に生産終了。なかなか個人で試薬を買うのも難しく、困っていたところ、多硫化カリウムを使った調合済のトナーが、ドイツのMoerschからMT-5という商品で取り扱いがあることを発見した。もうこれに頼るしかない。

 国内では入手できないセレニウムトナーも買っておこうと思い、同じくドイツのBelliniから販売されているSeltoneも取り寄せることにした。買ったのはドイツのMaco direct。こうしてみると、ドイツはまだまだゼラチンシルバープリントが盛んなのだろうか?

 他にもついでに印画紙を注文したので、届くまでに一か月くらいかかったが、無事に税関も通過して手元に届いた。荷物の受け取り時に消費税は別途支払った。

 というわけで、やっとここからが今回の本題である。こうして記録に残しておかないと細かいことはすぐに忘れてしまうので、そのためにもブログはいいのかも。
 多分、国内でこんな苦労しているのは僕くらいだと思うので、あまり参考にはならないのかもしれないけど、ネットに残しておけば、いつか誰かの参考になるのかもしれないし。

 早速、届いた二種類のトナーを調合し、最終的にはこの割合で落ちついた。

①<マーシュMT5 Moersch MT5>
250CC
②<ベリーニセレントナー Bellini SELTONE>
50CC
上記①+②+水1200CCで総量1500CC

ただ、これはかなり濃い状態だ。このまま水だけ増量して2000CCにしても多分、問題はない。

しかし、、、、

以前まで自家調合していたトナーとはやはり違う。水洗の終わった純黒調印画紙をダイレクトにトナーに入れても、まったく色調変化はない。ただのアーカイバル処理のみになっている。

そこで、再度説明書を見てみると。。。。。。


クールブラウンの画像トーンにはポリサルファイドトナーをご使用ください。
ウォームトーンのエマルジョンには直接トナーをご使用ください。
コールドトーンおよびニュートラルトーンの用紙は、鮮やかな発色が必要な場合、漂白後に間接的に調色することができます。
よりウォームブラウンのトーンにはシエナサルファートナーを、クールパープルのトーンにはカーボントナーをご使用ください。希釈率:1+10~1+50。このトナーは、換気の良い室内、または屋外でのみご使用ください。


 温黒調印画紙の場合は、水洗後にダイレクトな調色ができるみたいだけど、純黒調印画紙の場合は、漂白しないといけないみたい。

 ということで、漂白液でちょっとだけ漂白、定着、水洗の後に調色すると、みごとな濃茶となった。

 もしかすると、金属銀のままでは反応が鈍いのかもしれない。漂白することで、ハロゲン化銀に戻し、さらに調色することで硫化銀となり濃茶になるのではないだろうか。

 使い方はある程度分かった。秋以降、本格的に使ってみよう。この調色液はすごく大事なので、今度こそこぼさずにずっと大切に使おう。

2025年7月20日日曜日

何度目かのはじまりです。

 2003年5月に、暗室系写真サイト「Monochrome Anthology」を作りました。その当時お決まりの写真サイトのコンテンツは、写真日記、作品掲載、コミュニティとしての掲示板、お仲間リンクでした。

 時代は、単独のウェブページから、ブログ、SNSへと移っていきました。僕自身、SNSを主軸にし、手間がかかるウェブサイトのメンテナンスをしばらく放置していたことから、「Monochrome Anthology」は、表示が崩れ荒れ果てた状態になっていました。

 そんな折、グーグルの無料サービスを組み合わせて、手軽に構築出来ることに気づきサイトを新たに作り直しました。BBSはロケットBBSさんから無料レンタルしています。それにしても、今の時代にまだレンタル掲示板あるなんて😳

 このブログには、不定期に思ったことを書いていく予定です。よろしくお願いします。

 なお、新サイトは、こちらです。