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2026年2月14日土曜日

ケントメアパン200と歩む、新しい日常

 

 

 2025年5月、モノクロフィルムの新作「ケントメアパン200」が発売された。デジタル全盛のこのご時世に、新型フィルムが登場した。世界のフィルム事情はどうなっているんだろうと、驚きと期待が入り混じる。


 これまで常用してきたフォマパン200は、価格と品質のバランスが良く気に入っていた。しかし、ブローニー判に関してはベースが薄すぎて、扱いにくさを感じていたのも事実だ。ケントメアパン200のデータシートを確認すると、フォマパンよりも厚みがある。これは期待できそうだ。


 ブローニーの価格は両者でほぼ変わらない。あとは、画質が自分の好みに合うかどうか。夏の終わりにテスト用の135サイズ1本と、ブローニー5本を注文したが、独自の現像データを作るのに手間取り、ようやく実用段階に漕ぎ着けた。


 僕が愛用している現像液は自家調合のため、メーカーのデータシートに現像時間の記載はない。フィルムを換えるたび、暗室のタイマーを前に「果たしてこれでいいのか」と疑心暗鬼になりながら試行錯誤を繰り返す。


 仮にデータシートに目安が載っていたとしても、それをどう運用するかは撮り手次第だ。僕は、ネガ現像にかなりのこだわりを持っている。階調、粒状性、そしてシャープネス。この処理工程にこそ、作者の性格が露わになると思っているからだ。


<作例>

 


 Canon EOS Kiss III / EF50mm f1.8 STM /  KENTMERE PAN200 (EI100) /

  Stoeckler Two-bath Film Developer /  SILVERCHROME FLEXGRADE RC Matt


 仕上がりは、まったく不満のないレベルだった。心配していた粒状性も十分に満足できる。データシートには「コントラストが高め」との記述があったが、減感(EI100)して現像することで、ほどよく抑制された印象だ。


 僕の愛用する現像液は、感度を稼げるタイプではないため、公称感度から下げて露光することになる。この現像液には粒子の溶解作用があり、微粒子化されることで階調の繋がりが良くなる特性がある。


  一方で、全体が甘い描写に寄ってしまう傾向があるため、コントラストの境界(輪郭)でシャープネスを出すように処理を工夫している。決して「個々の粒子を立たせて全体をカリカリに見せる」ようなシャープネスではなく、あくまで滑らかなトーンの中に芯のある表現を目指しているのだが、ケントメア200は見事にそれに応えてくれた。


 これから、僕のブローニー判のメインフィルムはケントメアパン200になりそうだ。


2026年1月10日土曜日

在庫という名の安心


 ここのところ、まち歩きのスナップが楽しくて、135フィルムをよく使っている。
一年で100ftフィルムを一巻(缶)、消費するくらいのペースだ。

 先日、フィルムをパトローネに巻き取るためのローダーに、新しいフィルムを装填した。ローダーは普段、冷蔵庫で保管し、必要な分だけを切り出して使っている。気がつくと、未開封の100ftフィルムがなくなっていた。補充しなくてはならない。

 いつも利用していた海外のECサイトで注文しようとしたが、ユーロがあまりにも高くなり国内で購入するのと、価格的な差がほとんどない。おそらく、近いうちに国内で販売されているものも、次の輸入ロットでは為替の影響を受け、値上がりする可能性があるだろう。それに加えて、フィルムや印画紙に必要な銀の相場が高騰しているという話も耳にする。

 安くなる要素は、今のところ何も見当たらない。
 
 そんな情勢なので、国内で入手できる価格が変わらないうちに、2巻(缶)注文しておいた。これで、おそらくあと3年は大丈夫だ。もっと在庫しておいてもいいのかもしれない。しかし、今後も135フィルムを多く使うとは限らないし、そもそも写真活動そのものに興味が薄れる時期が来るかもしれない。過度に長期保管するリスクも、頭の片隅にある。

 それに、もしかしたら「何か」の要因で、為替や銀価格のトレンドが変わり、今よりも安くなる可能性だって、ゼロではない。可能性はかなり低いが、それでも、そうならないとは言い切れない。

 現在、フォマパン200の100ftフィルムは9000円ほどで、そこから36枚撮りが18本取れる。1本あたりにすると、500円くらいだ。20年ほど前、もっと性能の良いフィルムが1本150円程度で手に入ったことを思えば、ずいぶん高くなった。それでも、500円で踏みとどまってくれていることに、感謝すべきなのかもしれない。

 ここまで書いて、やっぱり心配になってきた。
 近いうちに、あと2巻(缶)注文して、心の平安を得ようと思う。

 

2025年9月30日火曜日

長時間露光

 


この世界が始まったと同時に、シャッターを開き、世界が終わる瞬間にシャッターを閉じ、一枚のフィルムに、過去から未来までのすべての事象を収めることが出来たとする。

その画像には、おしなべて様々な事象が集積されるが、時間の概念が存在していない。個々の事象は、それぞれの時間において存在するが、一枚のフィルムには、その総和が記録された状態となるため、前後関係は等価となる。


そこには、何がどんな状態で記録されているのだろう?


僕は、そこには結果として何も写っていないと思う。


森羅万象、移ろい、関係を保ちながら存在している。存在していたものはいずれ存在しなくなる。物質も人の思いも。

でも、最初から存在しなかったわけではない。様々なものが折り重なるうちに、無くなってしまうだけ。

この考え方は、あの宗教のあれだね(笑)

長時間露光で撮影していると、多くの時間のざわざわとした出来事がフィルムに露光されていくのに、出来上がる画像は様々なものが溶け込んで輪郭を失い、とても静謐な状態となる。全ての事象の総和は、結果として「空」に至るのでははないだろうか。

あ。言ってしまった。


そんなわけで、長時間露光である。

いったいどこからが長時間露光かと言うと、やはり1秒よりも長く露光する場合だろう。

黒白フィルムは、長時間露光時に実効感度が下がる相反則不軌特性がある。

例えば、僕がいつも使っているフォマパン200のデータシートには、次のように書かれている。


 1/1000秒から1/2秒までは露出計の値どおりで撮影して構わないが、1秒よりも長くなると、調整が必要になる。しかし、このデータシートの表だと毎回頭の中で計算しなくてはならないので、自分独自に換算票を作って携帯している。
 
 このフォマパン200というフィルムは、相反則不軌特性の受ける影響がとても強い。それは多くの場合、使いづらさに繋がるが、この効果を逆用し、長時間露光に活かすことが出来るフィルムでもある。

   


2025年8月22日金曜日

フォマパン200はフィルム価格高騰時代の救世主となるか

 


 今日もしつこくフォマパン200の話です😁

 白黒フィルムは、一般的なパンクロマチック以外にも感色特性の違いにより、オルソマチックや赤外線フィルムもあるが、僕にはそれらを使った表現方法が見つからないので、常用フィルムを選ぶ際には、パンクロマチックの中から選んでいる。その中でも、カラーネガと同じ現像処理(C41)をする色素タイプは除外する。

 そうなると、トラディショナルタイプ(Tri-X等)と、タブラータイプ(T-max等)の中から選ぶことになる。

 フィルムメーカーのブランドイメージや品質で選ぶのもいいと思うけど、僕はそういうのは気にしない。安価で品質に問題がなく自分の好みに合っていればそれでいい。

 

(ここの部分は読み飛ばしてもいいけどね)

 ちなみに、135って、何?って思われる諸氏もおられるかと思うが、世間一般で35ミリフィルムと呼ばれているものである。いろんな誤解でそう呼んでいる人が多いと思うけど、正確には違う。そもそも縦横比24ミリ×36ミリなのでどこにも35ミリは存在しない。

 まあ、別にいいけどね。会話の中で、誰かが35ミリフィルムと言っても、いちいち「それは違うぞ」と、訂正を求めることはない。僕もうっかり35ミリフィルムって言ってしまうこともあるし。

 フィルムの銘柄は出来るだけ変えたくない。フィルムを変えると現像データを作らないといけないのが、大変面倒だからである。データシートの現像時間はあくまでも参考値なので、自分が使っている引き伸ばし機の種類等で変えなくてはいけないのだ。この辺りのことは、また別の機会に書くことにしよう。

 可能であれば、品質的に安心して使うことが出来るコダックやイルフォードを選択したいが、価格的にまったく安心出来なくなったのでもう使うことは出来ない。選択肢がないなら高くても使うと思うけど、他にも安価に供給してくれているメーカーがあるんだから、それを検証してみようという努力は必要だ。

 そんなわけで、フォマパン200クリエイティブである。OEM商品で、国産メーカーのマリックス200や、アリスタED200も存在する。他にもあるかも。中身は同じなので、安価に入手できるものを買えばいいと思う。

 フォマには、フォマパン100クラシック、フォマパン400アクション というフィルムもある。これは試してみたが、まったく自分の好みには合わなかった。この三種類の中で200だけが、T粒子タイプのフィルムであるが、それはあまり関係ないと思う。

 フィルムのISO感度と、実効感度は違うため、撮影感度は実効感度で撮影しなくてはならないが、概ね半分くらいになると言っていい。ISO200のフォマパン200は、実効感度は100となるため、非常に使いやすい。手持ち撮影でも十分だ。

 他にも、ケントメア400も試してみたが自分には合わなかった。あとは、中国製の上海GP3や、ラッキーSHD400あたりも大変気になってはいるが、今のところは手を出していない。

 フォマパン200にも、不満なところはある。135と45は問題ないのだが、不満があるのは120である。それは、ベースのポリエステルがとにかくペラペラなのだ。データシートを見ると、0.1mmの厚さしかない。画質的には不満はないのだが、現像するときにかなり神経質になる。

 全てのフォーマットを同じ銘柄で統一したいところではあるが、120だけは、最近発売されたケントメア200に変えようと思い最近少し買ってみた。データシートによると厚さが0.125mmと書かれているので、フォマよりも少し分厚い。今は暑い時期なので、もう少し気温が下がったら、現像データを作ってみることにしよう。

 フォマは不思議なメーカーである。20年前、国内量販店での価格は、フジやコダックよりもフォマの方が高かった。その当時と比べてフィルム価格は5倍ほどの価格になっているが、フォマはそれほど値上がりしていなくて、今や安価なフィルムになっている。他メーカーが値上げするほど、趣味で写真をやっているような層はフォマに流れていくのかもしれない。

 僕の写真人生の前半はフジ、後半はフォマとのお付き合いになりそうな気がする。


2025年8月19日火曜日

フィルム事情2025

  ここ数年、フィルムはずっと値上がり傾向にある。出費が嵩むのは痛いが、僕はそれほど苦しんでいない。ここ数年愛用しているのは、チェコ製のフォマパン200なんだけど、撮影からネガ現像までに必要な費用は次のとおりとなる。


135 36枚撮り1本(100ftフィルム)         500円

      現像液、定着液等1本あたり       30円

    年間使用本数              20本

    年間費用   (500+30)20    10,600円・・・①


120 1本                  800円

    現像液、定着液等1本あたり         30円

    年間使用本数                8本

                年間費用   (800+30)8        6,640円・・・②


45  1枚                    180円

    現像液、定着液             20円

    年間使用枚数              50枚

                年間費用   (180+20)50      10,000円・・・③


          ①+②+③=27,240円(年間) ÷ 12月 = 2,270円 


 フィルム代と現像代で、一ヶ月2,000円ちょっと。しかも、これは写真活動をそこそこ活発に行った場合である。20年くらい前は、もっと良いフィルムを使ってもこの半額くらいだった。その頃に比べると確かに高い。1,000円も高くなっている!😓

 上記の単価は現在の国内市場単価よりも若干安めだが、個人輸入や国内サイトでセール期間を利用したり、薬剤は写真用にこだわらず、食品用、工業用等から探して調達している。写真用でも洗濯用でも炭酸ソーダは炭酸ソーダなのでそれなら洗濯用の方が安価である。

 ただ、これはあくまでもフィルムからネガを作るまでの費用なので、ここからどうするかは、これを読んでいるあなた次第である。

① ネガをライトボックスに置き、スマホやデジカメでデュープして反転すれば、ほぼ費用はかからない。(スマホかデジカメを持っていない人は、、、いないよね?)フィルムホルダー付のライトボックスがない場合は、中華通販で安く買いましょう。三千円もしないと思う。

② クリエイティブなことをしたいのであれば、スキャナで読み込んでフォトショップ等でレタッチしてもいい。これは、スキャナや、レタッチソフトの費用がかかる。

 ①②の場合、最初からデジカメを使えばいいじゃん、という意見もあるが、プロセスを楽しみたいのだから、そういうわけにはいかないのである。

 ①の手法は手軽で楽しそう。暗室が持てなくなったら、僕もやるかも。


③ 僕の場合、ネガを作ったら、暗室で引き伸ばしをしているので、現像薬品や印画紙費用がかかるが、これも20年くらい前に比べると倍くらいにはなっている気がする。1作品作るのに、印画紙を何枚使うかは、その時々で違うし、印画紙サイズや銘柄によっても価格は変わる。これは、デジタルでプリントする時も、紙については銘柄によって費用がまちまちなので、銀塩だから高いとは言えない。ただ今の時代、暗室用品一式を揃えるのは、写真量販店に行けば一式揃うというわけにはいかなくなっているので、なかなか厳しい。暗室作業の流れは難しいものではないのだけど、いくら簡単だと言っても体験してみるまでは実感として分からないとは思う。

 古くても満足できるカメラとレンズ2本を3万円くらいで買って、身の回りの物を撮影し、白黒フィルムを自家現像してデュープして楽しむ。これが安価で豊かな写真ライフなのかもしれない。

 映画「PERFECT DAYS」の主人公の平山は古いコンパクトカメラにネガカラーフィルムを詰めて写真屋さんで同時プリントして、生活の中でアートを楽しんでいた。ささやか過ぎる生活だが、そんな中にも心の機微は存在する。