2026年4月9日木曜日
暮色の湖岸
2026年3月21日土曜日
アルストロメリア
隣町にアルストロメリアの農家があるせいか、時折、新鮮な切り花が手に入る。
寒い時期はハウス栽培だろうが、暖かくなれば民家の庭先で咲いているのも見かける。アルストロメリアは花もちが良い。すぐに萎れてしまう心配がないので、じっくりと時間をかけて撮影できるのが魅力だ。色や模様は様々だが、今回の被写体には白基調の個体を選んだ。
いつもの粉引きの一輪挿しにそっと挿し、コーヒーを淹れるためにお湯を沸かす。
誰もいない午後。コーヒーカップを片手に、光の状態を観察する。
まだ風は冷たいが、南向きの部屋には春の陽射しがたっぷりと差し込んでいた。太陽の熱を蓄えたチェストの上で、花はみるみるうちにその花弁を広げていく。
「萎れる」心配はしていなかったが、「開花」のスピードまでは誤算だった。状態の変化が、思ったよりもずっと速い。のんびりとコーヒーを啜っている場合ではないことに気づく。
慌てて遮光カーテンを引き、光の量と角度を追い込む。三脚を立て、カメラにレンズを装着。冠布(かんぷ)を被り、薄暗い中でグラウンドグラスを覗き込む。
ピントを合わせ、スポット測光でハイライトとシャドウの輝度差を計測する。近接撮影による補正と、フィルムの相反則不軌……。頭の中で露出値を算出し、レンズに設定する。
時間は慌ただしく過ぎていき、静かな部屋の中で僕だけが忙しなく動いている。すべての準備を終え、シャッターを閉じてフィルムを装填する。引き蓋を抜き、レリーズを押し下げてシャッターを開放した。
――7秒間の露光。
この7秒間、少なくとも僕だけは、彫像のように動かない。7秒後、再びレリーズを押してシャッターを閉じた。
この日の撮影は、これで完了。
ふと机の上を見ると、そこには、いつの間にか飲むのを忘れてすっかり冷めてしまったコーヒーが残っていた。
2026年3月5日木曜日
クリスマスローズは走っている
2026年1月24日土曜日
水中木、冬
2025年10月28日火曜日
花を撮る時間
2025年9月17日水曜日
リンホフ・マスターテヒニカ2000
前モデルのマスターテヒニカ45は距離計を側面に装備していたが、2000は電子距離計を上部に搭載できる仕様になっているので、側面には距離計の取り付け跡を塞ぐ板が貼られている。前モデルの部品を流用したのだろうか。もしそうだとしても、つるりとした側面よりも、こうした全モデルの名残であり、無骨な凹凸があるデザインの方が、僕は好ましく思う。
僕の2000は、当初、可動トラックが驚くほど硬く、ピントを合わせるのに苦労した。いつもお世話になっている、大阪の鈴木特殊カメラで整備を依頼すると、適度なトルクで可動トラックが動くようになった。ついでに、暗くて見づらかったグラウンドグラスを、フレネルレンズに交換してもらった。そのおかげで、ファインダー越しに見える世界は、ぱっと明るくなった。
それから8年ほど経った頃、スイングバックロックのネジが外れてしまった。修理に出すついでに、かなりくたびれていた蛇腹も交換してもらった。
大判カメラは、究極的にはただの箱に過ぎない。どんな素材で、どんなに簡素な作りであっても、撮れる写真に影響はないだろう。使い勝手だけを考えれば、リンホフよりタチハラの方がずっと良い。リンホフは、ひとつひとつの動作をじっくりと行わなければならないから、どうしても時間がかかる。
それでも、あの美しい金属の塊を手にしていると、僕はただただ楽しくて仕方がないのだ。





