2026年6月8日月曜日

エンターテイメントとしての発色現像プリント

 


 ヤマボウシの静物写真を撮りたくなったので、3年ほど前に苗木を買ってきて庭先に植えた。昨年は一輪も咲かなかったが、今年は肥料と水やりをまめに行ったせいか、少し花がついた。

 いつもどおり、大判カメラで撮影した後、デジタルカメラでも撮影しておいた。デジタルカメラでの画像は、SNSに投稿したら役目を終える。

 しかし、思い返してみれば、キスデジタルX3を買ってから17年ほど経つが、このカメラで撮影したものをちゃんとプリントしたことがない。ふと、カラーで引き伸ばしてみたいと思った。もちろん、僕の本領はゼラチンシルバープリントなので、それは「遊び」としてだ。

 現状、写真の紙焼き(プリント)には、代表的なプロセスとして次のものがある。


1 ネガ → 光学引き伸ばし → 銀塩プリント(発色現像、ゼラチンシルバー)

2 ネガ → スキャン → 銀塩プリント(発色現像)

3 デジカメ → 銀塩プリント(発色現像)

4 ネガ → スキャン → インクジェット

5 デジカメ → インクジェット

※技法的に、発色現像はカラー、ゼラチンシルバーはモノクローム


 デジカメで撮影した場合、選択肢は3か5になる。デジタルデータからデジタルネガを作成し、1のプロセスを通ることもできるが、まあ、今回はそこまで深く立ち入らないので3を選んだ。

 3を選ぶか、5を選ぶか。おそらく5の方が「本気度」が高いのではないだろうか。デジカメで撮影してインクジェットで印刷するというのは、現代において最も高品質で耐久性があるプリントを作成できる手法であり、相応に高価でもある。

 僕が3を選んだのは、冒頭にも書いたように今回の試みが「遊び」であるからと、久しぶりに発色現像方式の印画紙を手に取って見てみたいと思ったからだ。


 そんなわけで、少しだけ明るめに調整し、RAW現像したデータをSDカードに保存して、近所のカメラのキタムラに行った。

 カメラ店に行くのはかなり久しぶりである。どうやって注文したら良いのか分からずにいると、店員にプリント注文用の端末を案内された。注文の過程で「無補正」と「お任せ補正」があり、どちらにしようかかなり悩んだが、せっかく自分で現像したデータなので、最終的に「無補正」にした。

 10日ほどして受け取りに行き、仕上がりを確認すると、ちょっと暗めではあるが満足のいくレベルであった。これがいつものゼラチンシルバープリントであるなら再プリント(焼き直し)していたかもしれないが、今回はそこまでやるつもりはない。そうしたお手軽さを求めて、このサービスを選んだのだ。


 印画紙の裏を見ると、富士フイルム製品のようだった。少し前に富士フイルムはシート印画紙の販売を終了してしまったが、ロール印画紙の供給はまだ続けている。同社もノーリツ鋼機も、ミニラボ機をまだ生産ラインに残しているのだ。

 各店舗にミニラボ機を配置するのは需要面から難しいのだろうが、ラボへ集中一元化し、ユーザー側も仕上がりまでの日数を許容できるのであれば、この価格で発色現像プリントを楽しめる環境は、まだ当分は維持されるのではないだろうか。


 フィルムカメラは現像結果を見るまで分からないため、その「待つ期間」がワクワクするとよく言われる。しかし今回の経験から、RAW現像データ通りに仕上がるか分からない発色現像プリントも、納品を待つ間の心持ちは同じではないかと思えた。

 もっとも、僕の場合はいつも「ワクワク」ではなく、「ハラハラ(心配)」なのだが。

CANON EOS-kiss X3  EF50mmF1.8STM

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